このところ、大規模開発に関連する記事が続いていますので、私達「みんなの箕面」はそのことをこだわっている会だと思われるかもしれませんが、「会の紹介」にあるように、さまざまな視点から箕面の街づくりを考えていくことを設立の趣旨にしています。
特に、箕面の未来を背負う子ども達を育てる「教育や保育」の問題は、重要な街づくりの課題だと考えています。

12月の箕面市議会で、『子どもの健やかな育ちを保障する「認可保育制度』拡充を求める意見書』(以下「意見書」)が賛成多数で可決されました。国が保育所・園、幼稚園の制度改正を中心に、就学前の子ども達の育ちの条件を切り下げようとしている現在、箕面市がこのような「意見書」を上げることは、とても意義があると思います。
この「意見書」の採択をきっかけに、就学前の子ども達への充実した子育ての条件を、箕面市が主体的に整備していくことを切望します。

今回の「意見書」がもつ大きな意義を以下に説明していきたいと思います。

政府、民主党は、年明けの通常国会に保育所や幼稚園など子育てに関する新しい制度を提案しようとしています。
新しい制度の目的は「すべての子どもに良質な生育環境を保障すること、出産・子育て・就労がかなう社会を創ること」などとして、そのため、既存の保育所・幼稚園を一体化し、全く新しいシステムに作り替えるとしています。目的をみると新しいシステムに対しての期待が持てますが、今回出された新システムはその目的とかけ離れた内容となっています。

箕面市12月議会で採択された新システムの撤回を求める「意見書」の内容を一部引用し、新しいシステムの問題点を明らかにします。

新しいシステム「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」は、2010年6月29日、少子化社会対策会議で決定されました。
「新システム」は介護保険をモデルにして制度が考えられ、
(1)幼保一元化
(2)多様な事業主体の参入促進
(3)国の役割を変え、補助金などの財政の仕組みを変える
などの特徴があり、そのために現在の保育所や幼稚園の制度(システム)を改革するものです。
政府は、2009年12月に閣議決定された「明日の安心と成長のための緊急経済対策」に基づき、幼保一体化を含む子育て支援を検討する「子ども・子育て新システム検討会議」を設置しました。
この様な動きを背景に2010年6月に「新成長戦略」「産業構造ビジョン2010」が閣議決定され、それらの閣議決定では幼保一体化の推進や制度・規制の見直しをはかり、多様(株式会社など)な事業主体の参入促進が提案されました。

つまり、保育・子育て分野で新たな儲けを生み出し、雇用創出をはかる産業として位置付けられ、要綱が決定されたのです。これは日本経団連の「成長戦略2010」をはじめ、財界が長年求めてきた方向であり、子どもの権利や発達保障とは無縁の内容です。

現行の認可保育制度は、「公的責任」「最低基準」「応能負担」という3つの福祉の必要条件を柱とした保育制度ですが、新システムの保育制度の内容は、国と市町村の責任を後退させ、幼稚園と保育所を一体化した「子ども園」に営利企業を積極的に参入させる、予算は丸ごと「一括交付金」化して自治体の自由に任せるというものです。
また、幼保一体化といいながら、幼児教育は単なる就学準備のための保育に、保育は保護者が働いている時間だけ預かる託児にするもので、これまでの日本の保育や幼児教育の到達を無視した幼保一体化の名に値しないものといえます。

「新システム」に対して多くの議会から撤回を求める意見書が政府に提出されています。大阪では泉南市議会と箕面市議会が意見書を提出しています。
議会の状況とはうらはらに、新聞等では新システムを評価する報道が多く、問題点があまり指摘されていないために多くの保護者が「新システム」に期待しているのが現状といえます。

「新システム」の本質、問題点を広く知らせていくこと、そして、通常国会への法案の提案又可決を阻止する運動を取り組んでいくことが求められています。