箕面市が12月16日に突然発表した「緊急プラン(素案)」は、市民の中に様々な波紋を呼び、年末年始の慌ただしさの中で1月16日にパブリックコメントが締め切られました。

聞くところによると、今週中には倉田市長の査定があるようで、2月の初旬には予算案が議会に示されるようです。
「特命チーム」はあくまで素案であり、市民の意見を聞いて、さらに練り直すことも考えているようなニュアンスで説明していますが、本当に市民の声を聞くつもりならもっと時間をかけて議論することも可能なはずです。いくら「基金」が少なくなったとはいえ、まだ2年間は大丈夫なのですから、最低1年間は議論しつつ、考えることも可能なはずです。

私たち「みんなの箕面」では、この慌ただしさの中には、裏のシナリオがあるのではないかと分析しています。

(1)倉田氏は市長選で「財政難」をひたすらあおっていました。しかし、箕面市が進める「大規模開発」はすでに終わった問題として、全く触れせんでした。
(2)就任後、まずは副市長人事を決め、彼をリーダーに「特命チーム」を作り、「緊急プラン」を出させました。あくまで特命チームの案であり、倉田市長は直接は関与していないというスタンスをとっています。
(3)内容的に「市民の生活に厳しく切り込む」ものにしていますから、当然市民からの反発も大きいことは十分予想していたでしょう。自民・公明・民主の与党議員からも一定の異論が出てくることも、想定のうちでしょう。
(4)市民からのパブリックコメントにはいろいろな意見が書かれているでしょうから、その中から倉田市長の公約である「子育てしやすさ日本一」「高齢者が生き生きする街作り」などにマッチするものを取り上げる形で、一定修正した予算案を立てさせるでしょう。
(5)その中に、同時に議会でここまでは修正を受け入れるという部分を作っておき、その部分を「与党議員」が修正案を出し、予算を成立させます。

このやり方だと、「緊急プラン」を出したのは倉田市長ではありませんから、倉田市長は公約を守るため、厳しい財政の中で最大限努力した、と宣伝することができます。
また、与党議員も修正案を多数で通すことで、市民の声を一定予算に反映させることができた、という成果を出すことができます。
市民は、成立した予算案を見て、ある程度市も考えたんだなと思ってしまうでしょう。

つまり、今回のやり方だと、倉田市長は傷つくこともなく、自分の評価を高めることができ、自分を支える与党議員の顔も立てることができます。同時に、市民の関心は財政の厳しさに向いてしまっていますから、その土俵の上で一定の妥協をしてくれたと思うでしょう。

成果はあくまで自分のものにしようとする姿勢は、「乳幼児医療助成拡大」の成立にもよく表れています。
市長選・市議選の後で最初に開かれた市議会で、日本共産党から上記の条例改正案が出されましたが、倉田市長は自身のブログに書いてあるように、「財政的裏付けが甘い案」として継続審議にさせ、次の議会でほぼ同じ改正案を提出して成立させています。
あくまで、「乳幼児医療助成拡大」を実現したのは自分である、という事実がほしいのでしょう。

市民からすれば、誰が成立させたかは問題ではなく、福祉として必要なことであれば、誰が提案しても正当に審議され、成立していく「当たり前の議会」を求めるのですが、実際は政治の力学が働き、そうはいかないようです。

このような観点から考えると、「緊急プラン」にはすでにいくつかの仕掛けがしてあり、打ち上げ花火のようにあげることで、市民の目が削減対象に向くようにし向け、本質の問題・原因から目をそらさせるつもりなのでしょう。

ですから、私たち「みんなの箕面」は、まず市が提示した「枠組み」そのものを疑うことから始める必要があると考えています。要は、「同じ土俵」には乗らないと言うことです。箕面市の財政問題の全体像をとらえ、地方自治体は本来どういう仕事をするべきなのか、という本質論から考えていくべきだと提起します。

私たちの分析は、今後少しずつ編集委員で書いていきますが、市民自身が財政の問題を学び、考えあうために3月7日(土)にシンポジウムを計画しています。
是非、参加者の皆さんと一緒に、箕面市の「緊急プラン」を分析し、私たちの箕面市を作っていく一歩にしたいと思っています、