これからしばらく、シリーズで3月7日に行った私達「みんなの箕面」ウェッブのシンポジウムの報告をアップしていきたいと思います。
第1回は、箕面市が出した「緊急プラン(素案)」の本質を考える上で、私達が見落としてはならないと考えている視点・問題意識についてです。
シンポジウムで使用したプレゼンテーションの画像を使いながら、わかりやすく提示したいと思います。
私達のシンポジウムの雰囲気も同時に感じてくださればと思います。
まず、「緊急プラン(素案)」の概略を簡単に説明します。
要は、小泉元首相の元、地方への財源移譲の大義名分で「三位一体の改革」が行われましたが、そのおかげでもともと高額納税者の多い箕面市は、却って減収になってしまったこと、その他「基金」が残り少なくなってきていることが、強調されています。
同時に、平成19年度決算で経常比率が100%を越えてしまったこと。つまり、家計でいえば収入以上に支出が多くなったことをかなり強調しています(以下、プレゼンで使った画像を使って、簡単に説明します)。
つまり、今のペースでお金を使っていくと、平成21年度から25年度の5年間で、総額273億円の財源不足になると試算しており、それを避けるために、毎年約20億円規模で支出を削減していくという案です。
そのために、箕面市の職員の人件費の削減や各種団体への補助金の原則2割カット、施設使用料などの公共料金の値上げ、保育料や幼稚園授業料の値上げなどを打ち出してきたわけです。
市が提示している支出と歳出、財源不足の概算額は以下のようになります。
平成22年度の歳出の多さと、それに比べて23年度の歳入の多さが目につきます。これについては、のちのち分析したいと考えています。
ところで、「緊急プラン(素案)」は削減項目がバラバラに提示されているので、素人にはわかりにくくなっています。
そこで、「経常的な支出」と「臨時的な支出」の圧縮内容を、項目別にまとめて見ました。
合計で約163億円を5年間で削減するとしていますが、その内訳を見てみると…
ご覧の通り、健康に関するものが約40%を占めることがわかります。
その内容を、もう少し詳しく見てみましょう。
ご覧の通り、実は「緊急プラン(素案)」の大きな部分は、国民健康保険の値上げと箕面市立病院の独立採算制にかかっているのです。
つまり、「地方医療」への責任放棄です
市は市民からパブリックコメントを募集し、その結果保育料の値上げや障害者団体への補助金のカットなど見送った部分はありますが、実は見送った部分は削減対象の中でも大した金額ではないところです。
「緊急プラン(素案)」の試算を実現するためには、まず何よりも「国民健康保険」と「市民病院」の部分は実行しないといけないわけです。
それに合わすように、「箕面市国民健康保険運営協議会」が答申を出し、来年度に総額3億円の値上げを打ち出しています。なぜこんなに急いで答申を出してきたのか、私達は考える必要があります。この部分は、市当局は譲れないと考えているということです。要は、最初に削減しようとしているのは市民の「健康」と「医療」であるという事実をしっかりと認識する必要があります。
しかも、これらは市の予算案の中には、わかるようには書かれていません。特に、国民健康保険の値上げに関しては、予算案では実施しないことになっています。しかし、実際には会期の最後に答申を受けて、補正予算を出して削減するつもりなのです。
箕面市が「緊急プラン(素案)」という形で、今の市の財政の現状を市民に提示したことを評価する向きもありますが、私達は違う角度から捉えています。
これは、市民の目を問題の本質からそらせ、市民生活のさまざまな部分を削減対象にすることで市民を分断し、それぞれが自分に関わる部分がとりあえず守られたら安心するようにしむけ、その狭間にもっともお金のかかっている「地方医療」を削ろうとしているのです。
「地方医療」は私達市民にとって、命に関わるもっとも大切な部分ではないでしょうか。
そういう地方自治体が本来最も責任を持つべき部分を、最初に削ろうとしているのが「緊急プラン」の本質だと考えています。
では、市民の「命」を削る程まで市の財政は緊迫した状態なのでしょうか。
これまでの手厚い「福祉」が市の財政を圧迫したのでしょうか。
私達はそうは考えていません。
次回は、私達が考える「箕面市の財政難の根本原因」に対する問題意識を提示したいと思います。
どうぞ、引き続きお読みください。