箕面市が資本金の6割以上を出資している「箕面都市開発株式会社」が、箕面市を相手に大阪地方裁判所に「特定調停法」に基づく「特別調停」を申し立てたことは、既に報道され、多くの人の知るところである。箕面市のHPにも、そのことについて概要がアップされている。

(報道資料)箕面市の第3セクター「箕面都市開発(株式会社)」による特定調停の申立て

同社は平成7年8月に箕面駅の近くに約1,500平方メートルの土地を、12億3430万円で取得している。当時はその大半を金融会社からの融資でまかなったとのことだが、その後の地価下落で大幅な債務超過を抱えることになってしまった。
そこで、箕面市が平成16年3月に金融機関からの借入金の残金、11億1000万円を低利融資したが、結局今まで債務超過状態が続き、最終的に今回の特別調停の申し立てになったとのことである。

まず、箕面都市開発株式会社という会社の事業内容を見てみると、これまで歴代の市長が進めてきた「大規模開発」に関わる事業がほとんどである。

箕面都市開発株式会社(みのおウェーブ)
・緑遊新都心株式会社運営支援業務
・南山開発株式会社の運営支援業務
・かやの中央のまち育て支援業務
・箕面新都心の周辺街区の駐車場業務

急速な収益悪化に陥ったのは、平成22年度から26年度にわたる、箕面市立駅前第1・第2駐車場の指定管理者の公募に落選したからである。
当時の社長は、民間金融会社出身者の日永田実氏である。彼はかつては箕面わいわい株式会社代表取締役社長も勤め、箕面市の町おこしにもそれなりに貢献してきた人間である。倉田箕面市長はかねてから「民間の活力を導入する」と明言してきた。そういう彼が運営する第3セクターに、なぜ箕面市立第1・第2駐車場の指定管理者の立場を与えなかったのか。

前社長は、民間出身者の常識として、箕面市に債務の免除や返済猶予を求めてきた。これはある意味当たり前である。第3セクター方式の本質は、民家企業は一切損をせず、借金は全部地方自治体がもつものだからである。だから、多くの事業が第3セクター方式で行われるのである(北大阪急行延伸も同じやり方であることに注意が必要である)。

そのような状況の中で、箕面都市開発株式会社の社長の交代が行われた。平成22年5月に就任した新社長は南富治氏。私の調査に間違いなければ、8年ほど前に箕面市の市民生活部長を勤めた人間である。ある意味、行政側に会社運営の主導権を取り戻したとも言える。そのような人間が、市に対して特別調停を申し立てたということは、それなりの計算があってのことだろう。

奇しくも、10月に箕面市立箕面文化・交流センター指定管理者の選定があり、箕面都市開発株式会社が第1位で選定されている。

箕面市立箕面文化・交流センター指定管理者候補者の選定結果

箕面サンプラザ1号館の中にあり、会議室などを貸し出すことで、料金を徴収する。ある意味、これで収入元を確保することができたということだ。このような条件であれば、特別調停で箕面市が箕面都市開発株式会社の借金を肩代わりするという結論もありえるだろう。

私が一番問題だと思うのは、平成16年に箕面市が箕面都市開発株式会社に低利融資をしたときに、倉田哲郎箕面市長は総務省から出向して箕面市の「策総括監」を勤めていた。彼は自分のブログでなぜ1500平米の土地を購入したかわからないとうそぶいているが、今の箕面市の行政の方向性のほとんどを実質決めていた彼が、知らないはずがない。そしてむちゃな買い物をする第3セクターに対して低利融資をすることを、当時彼は知る立場にいた。「真相はわからない」などと見え透いた嘘を堂々とブログに書くことは、政治家として恥ずかしいと思う。

36歳の日誌箕面都市開発株式会社のこと

どうやら、今回の問題の裏には、今後の北大阪急行延伸など、いろいろな開発の方針に対する箕面市の主導権争いがあるような感じがする。ちなみに、箕面都市開発株式会社の出資会社は、以下の通りである。

箕面市、箕面商工会議所、大阪北部農業協同組合、
三井住友銀行、りそな銀行、池田銀行、阪急電鉄、
銀泉、三井住友カード、三井住友銀リース、
摂津水都信用金庫、尼崎信用金庫、 阪急バス

箕面市の大規模開発を巡る暗部を垣間見た気がする。
何か情報があれば、是非コメントください。