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社会的弱者切り捨ての「緊急プラン」

このウェッブマガジン・ブログの本格始動は4月からを考えていました。
その理由は、倉田市長自身最初の所信表明で具体的な政策はほとんど語らず、抽象的な精神論で終始していましたし、副市長の人事は提案しましたが、その他の収入役や教育長などの人事は来年度以降に回されたからです。

その副市長も前子ども部部長の奥山勉氏で、彼は箕面市の福祉畑で長く仕事をしてきた人物です。倉田市長自身若い分、ベテランをサポートにもってくるなど、ある程度バランス感覚のある首長と考え、市長としての施策がはっきりしてから活動を開始しようと考えていました。

しかし、その淡い期待も、12月16日に発表された「緊急プラン」で一気に吹き飛んでしまいました。

「緊急プラン(素案)」に対する意見募集:箕面市

上記リンクからPDFファイルをダウンロードできますので、是非中味をご一読ください。

「緊急プラン」によると、箕面市は平成21年度から5年間で273億円収支不足が見込まれ、それを補うためにさまざまな事業を見直し、毎年約26億円から35億円の支出削減効果を出す中で、5年後には経常支出比率を100%以下にしようというものです。
これだけだと素晴らしい案のように思われますが、以下の点で大きな問題点を含んでいます。

(1)倉田市長の公約である「子育てしやすさ日本一」「高齢者の生き生きする町作り」などを大きく後退させる内容であること

今後のエントリーで考察していきたいと考えていますが、見直し対象の多くが「保育所保育料の値上げ」「幼稚園入園料の新設」「障害者団体への補助金の見直し」など、子ども・障害者・老人という「社会的弱者」を狙い撃ちしたものになっています。
このあたりは「緊急プラン」を提案した「特命チーム“ゼロ”」もHPで認めており、「目標を達成するためには、市民生活や市民サービスにも大幅に切り込む極めて厳しい内容」になっています。

(2)市役所内で十分に議論されて提案されたものではなく、あくまで倉田市長が任命した「特命チーム」が短期間で考え、提案した案であること。

市役所の公務員の方々は、常日頃から市民と直に接する中で、いろんな市民の声を直接聞いています。だからこそわかる市民の要望もあるはずです。そういう声を市政に活かすのも、公務員の大切な仕事のはずです。
しかし、今回の案はHPで書かれているとおり、「市役所内の各部局とも未調整で作成」されています。これは恐ろしいことです。市民の生活に直接関わることが、トップダウンで決められていいのでしょうか?
しかも、そのリーダーが元子ども部部長であることに、大きな憤りを感じます。

(3)箕面市の「財政難」の根本的原因を明らかにするものではなく、現状を示すものでしかないこと

「緊急プラン」はひたすら「財政難」を強調しますが、近隣都市の中では箕面市は財政的には優秀な方です。このままでは「基金を使い果たしてしまう」といいますが、そうなってしまった原因は、どこにあるのでしょうか?
編集長自身、箕面市の福祉の充実さに魅力を感じて、他市から転居してきましたが、その充実した福祉が箕面市の財政を破綻させたのでしょうか?
かつての箕面市は、光り輝いていました。その優れた部分を削り落としてまでやる必然性のある「緊急プラン」なら、それなりの根本的な説明が必要です

(4)市民の生活に大幅に切り込むものであるものなのに、市民に十分に周知されていないこと

箕面市の「緊急プラン」は各新聞紙に簡単に取り上げられてはいましたが、当の箕面市ではHPや市内何カ所かの市の施設で配布されているだけです。。
広報の「みのおだより」にも掲載されてしません。もちろん、全戸配布もされていません。
そのような中で、市民からの意見を募集するということですが、そのこともHPで知らされているだけです。
説明会も行われますが、それもHPで告示しているのみです。
これほどの市民負担を強いる内容なのに、多くの市民がアクセスできない方法で公示すること自体、市民無視のプランといわれても仕方ないでしょう。

今後、一つずつ問題点を考察していきたいと思います。

2件のコメント

2008年8月の箕面市長選の結果

2008年8月24日、箕面市長選挙が行われ、3名が立候補し、開票結果は以下の通りだった。

倉田哲朗氏(無所属・新、自民・民主・公明・国民新党推薦) 23,217票
藤沢純一氏(無所属・現職) 16,316票
小林ひとみ氏(無所属・新、共産党推薦) 10,283票

当日有権者数は10万247人、投票率は50.75%(前回49.93%)だった。
結果的には、倉田氏が当選したわけであるが、この得票は現在の箕面市民の選択を考える意味で重要な示唆を含んでいる。
単純に見て、誰もが気づくように、倉田氏は当選したとはいえ、投票した有権者の過半数を得票できたわけではない。
得票率は46.6%である。つまり、今回の選挙に投票した有権者の過半数は、倉田氏を選ばなかったということである。

これは重要な意味を示している。
倉田氏は、自民・民主・公明・国民新党と考え得る限りの推薦を受け、同時に行われた市議会選挙でも多くの候補者が自分の名前の後に倉田氏の名前を連呼するほどの力を入れても、過半数を取れなかったということである。
ここに、現在の箕面市政に対する、箕面市民の根強い不信、不信任が現れている。

倉田氏には、この現実を前提に、当選したからといって何をしてもいいのではなく、自分を選ばなかった有権者を含めて、この箕面市の代表であることを自覚して、謙虚に誰もが納得できる市政の舵取りをしてくれることを心から要望する次第である。

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