箕面市は、本来福祉が充実していることで、定評のある街だった。
その中でも、近隣の街から抜きん出ていたものに、小学校の学校給食がある。
隣の池田市が給食センター方式(現在でもそうであるが)なのに、その当時から箕面市は各小学校に調理室を設備し、それぞれの学校でその学校の児童の給食を調理していた。これを「自校式」という。
この方法は、特にアレルギーの子どもを持つ親にとって、とてもありがたい方法である。現在はセンター方式の池田市も、親の要望を受けて、ある程度の除去食の給食で対応しているようであるが、自校式だと児童のアレルギーの状態を直接把握している各小学校で調理するので、間違いが起こりにくい。しかも、調理師を置いている小学校もあり、親が直接相談することもできた。
私の知り合いも、子どものアレルギーのため、わざわざ箕面市に転居してきた家庭もあるくらいである。
その優れた箕面市の給食も、数年前(つまり、倉田哲郎現市長が、政務総監として総務省から出向していた頃)から、少しずつ民間委託され始め、今年の初めには12小学校のうち半分の6校が、調理を民間業者が行っている。
その上「財政難」を理由に、年度途中の9月から更に2校の調理業務を民間委託するというのである。
今や、箕面市が責任をもって調理を行っている小学校は、箕面・北・西南・東の4校のみになってしまった。
民間委託する一番のメリットは、人件費の節約である。箕面市は現在は全ての小学校で同じ献立で給食を実施しているが、3/4が民間業者の調理となった現在、箕面市の献立では採算が取れないと独自の献立を実施する業者が現れない保証はない(採算が取れない民間簡単に撤退することは、中学校の「デリバリーランチ」で実証されている)。
箕面市の給食に関する方針は、市のホームページに載せられているので、一度お読みいただきたい。
給食だより(市立小学校):箕面市ホームページ
「生野菜や果物、肉類は国産のものを使用」など、「食の安全」に関心の高い親とっては、安心できる文言が入ってはいるが、私が気になったのはそれより先に書いていある「新しくて安価で良質なもの」という言葉である。
食の安全に関心の高い人ならすぐわかることだが、新しくて良質な食材ほど、高価である。農家と直接契約を結ぶのなら別であるが、ホームページを見る限り、大阪府内の業者から食材を購入していことはわかるが、民間委託されている業者が、どこから食材を納入しているかはわからない。文面のまま受け取れば、民間業者は採算が取れるように、まず安価な食材を購入するのは想像に難くない。
このような状況の時に、東日本大震災による「福島第一原発」事故の、広範囲の放射能による土壌などの汚染である。これに関しては、最近になり「ホットスポット」の存在も明らかにされ、放射能汚染が、私達の予想を越えて、広範囲に及んでいる可能性を示唆している。
そして、数日前に、メディアで発表された驚くべき事実。横浜市の給食で、放射能に汚染された牛肉が使われ、6万人以上の子ども達が口にしたということだ。
横浜市立小の給食、汚染牛24キロ使用:asahi.com
同市によると、福島県の畜産農家が出荷した牛の肉のうち、冷凍保管された肉から20日、719ベクレルが検出された。同じ牛の肉は他の牛肉と混合され、5月13日に市内16校(児童数計8028人)の給食で肉じゃがとして出されていた。
同市の学校給食では、放射性物質に汚染された稲わらを食べた牛の肉を約6万7千人が食べていたことが判明していた。
放射能に関しては、目に見えないこともあり、わからず入荷してしまったということはあるかもしれない。しかし、横浜市で問題なのは、その後の市の対応である。
ホームページに市民の声を書き込むページがあるのだが、この給食に関する問題には「お答えできません」という回答が並んでいるだけである。これで、子どもの健康に責任を持っていると言えるのであろうか。
「市民の声の公表」(横浜市)
放射能の影響は、幼い子どもほど受けやすい。倉田哲郎市長は「子育てしやすさ日本一」を公約に当選した。
未来の世代に債務を残さないという「緊急プラン」、「北大阪急行延伸」で便利な箕面を作るというのも、立場の違いでいろいろな見方もあろう。
しかし、放射能に汚染された給食を口にして、箕面の子ども達の未来が暗いものになることは、レベルが違う問題である。「食育」を重要課題にしている箕面市が、直接指導できない民間業者に、子どもの未来の健康を丸投げ状態で、道徳的にも倫理的にもまともな政治をしているといえるだろうか。しかも、来年度は中学校への給食の導入も検討していると聞くが、これは民間委託は間違いない。
今や、自分の家庭で弁当を作る方が、自分の子どもの健康を守れる状況とも言えるのである。
そのような状況の中で、箕面市としては、至急に食材の放射能汚染がどの程度が調査し、公表するべきある。
そして、市長の名前で、事実をもって、嘘をつかずに現状を公表してほしい。
私達のブログは、常にオープンである。
倉田哲郎市長の直接のコメントをお待ち申し上げる次第である。
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